赤い彗星
木々達がほんのり化粧して
私たちの目を楽しませてくれる
そんな時期になりましたね
箕面の滝に打たれながら失礼します
柴原教室の安達です
辺りが赤く色づくこの季節
あの出来事を思い出さずにいられません
ちょうど私が高校の時
卓球部からサッカー部に
転身した頃のお話
卓球での反射神経を買われ
ゴールキーパーをやってみたものの
脱サラしたラーメン屋の如く
慣れない日々が続いていました
サッカー部自体あまり強いとは
言えなかったですが
ド素人のキーパーはあまりにお荷物
連戦連敗、ついには
キックオフゴールされるという
屈辱も受けてしまいました
なので、少しでも上手くなるために
部活後も残って練習をしていました
そんな私の練習につきあってくれたのが
Aセンパイ
いつもやさしく面倒見の良いセンパイで
後輩からも慕われているが
サッカーはお世辞にもうまいとはいえない
そして極度の近視で
つねに目を細めてプレーしていました
ある日の練習後、
ぼくら1年がベンチで談笑していたとき
Aセンパイが蹴ったボールがこちらの方に
転がってきた
そしてベンチから少し離れた
用具を集めて置いてある場所に止まった
するとAセンパイが遠くから
「Y君!ボール取ってくれ!」
としきりに叫んでいる
しかし、Y君はそこにはいない
なぜならY君はぼくの
となりに座っている
その後もずっと
ぼくらが見えないY君に
叫び続けている
少し怖くなったので
ボールのそばにいくと
そこには赤いカラーコーンが
謎はすべてとけた
センパイは赤いカラーコーンと
赤のユニフォームを着たY君を
見間違えたのである
たしかにY君は160cm65kgの
ずんぐりむっくり
カラーコーンに見えなくもない
Y君の顔がますますカラーコーンに近づいたのは
気のせいではないだろう
それでは、また
その後、Y君は3倍の速さでAセンパイのもとへ走って行きました